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2008年11月25日 (火)

夢現草紙、三夜。

一月ぶりの夢現草紙でございます。

もう前の話を当人が忘れるという暴挙に出てしまいましたw

読み返したら続きはちゃんと浮かんできました、よかったよかった。

 

さて、前夜でついにその姿を現した幽子(かくりね)ですが、いったい彼女は何者なのか?

彼女の言う「全ての現を夢に見る」とはどういうことなのか?

 

今回でその謎が少しは解き明かされるでしょう…タブン。

夢現草子、三夜 『幽子(かくりね)』

「ようこそ、夢現楼閣(むげんろうかく)へ、私(わたくし)の名は幽子(かくりね)。全ての現(うつつ)を夢に見るものにございます・・・・」

自分の夢の中で体験する奇妙な出来事。

その鍵を握るであろう記憶のどこを探しても歯牙にもかからぬ謎の少女、幽子(かくりね)。彼女との出会いは彼をどのような運命へと誘うのであろうか。

などとまるで他人事のようなナレーションを頭に思い浮かべながら、鏡也はその場に立ち尽くすほかなかった。

それはそうだろう、ある程度は落ち着きを取り戻したとはいえまだ頭の中はこんがらがったまま、未だ何一つ謎は解かれてなどいないのだから。

 

「無限…・楼閣?」

「いえ、無限ではなく夢現(ゆめうつつ)と書いて夢現(むげん)ですわ。あ、何故あなたが漢字を間違えて思い浮かべたかどうかは秘密ですよ?ほら、乙女には秘密が一つはないといけないという絶対ルールは遵守しなければいけませんから。お茶をどうぞ」

 

どこから入ってきたのか、揺(ゆらぎ)がいつの間にやらお茶を乗せた盆を手に戻ってきていた。出会ったときからつかみどころのない女性だ。おまけに胸を張って自分を「乙女」だと言いきった・・・・・ツワモノだ。

 

「あらあらぁ?今なんだかとぉ~っても失礼なことを考えませんでしたか?」

「い!いやそんなことは・・・・・・ゴニョゴニョ」

「揺(ゆらぎ)、話が進まないから下がってと言ったはずですよ?」

 

静かな、だが凛とした響きを伴う少女の声に揺(ゆらぎ)はおずおずと部屋を退散してゆく。どうやらぱっと見傍若無人な彼女もこの少女にはどこか頭が上がらないらしい。

そんな二人のやり取りを見ながら、鏡也はズズズーッとお茶を呼ばれていた。

先ほどよりも更に心は静まり、今の状況に対する耐性も付いてきたように感じる。もしかしたら彼女は自分の心を落ち着かせる時間を稼ぐために道化を演じていただけなのだろうか?とすら考える余裕も出てきた。

 

 

間違いなくそれは違う、と心が叫んでいるのはご愛敬だ。

 

「話が進みませんね・・・・そろそろ本題へと入らせていただきます」

住いを正し、少女が鏡也へと向き直る。その姿はどこか神々しく、まるで自分とは違う次元の存在のような感覚を覚えさせる。

透き通るような声。暗闇にあってなおキラキラと流れる黒髪。和な佇まいにも関わらず、どこかゴシックな出で立ちで正坐をする奇妙な少女。

ちぐはぐなようで、全く違和感を感じない。

「何からお話いたしましょうか・・・・聞きたいことがございますなら先にお答えさせていただきますが?」

彼女の声に導かれるように、鏡也は矢継ぎ早に質問の雨を浴びせかけた。

 

「ここはどこなんだ」「ここは夢であり現・・・・夢現楼閣、私(わたくし)の住まいにございます」

「あんたは何者だ?」「私の名は幽子(かくりね)、全ての現を夢に見る・・・・それが私・・・・」

 

質問に答えると言っておきながら、帰ってくるのは先ほど一度聞いた事ばかり。いや、質問が悪いのか?

もっと詳しく説明してもらわなければ理解できそうにない。それならば。

 

「済まんが全く理解できん、頼むからもうちっと詳しく説明してもらえないかな?」

 

「・・・・・・ここは夢にあって夢にあらぬ場所。あなたにとって夢でも、私にとってはこの世界こそが現・・・・。何故だかはわかりません。ですが確かに、私はあなたがたの現を夢に見ております。全ての生きとし生けるものの現は・・・・・・私にとってただの夢物語・・・・・・・・・」

そんなことがあるはずがない。

全ての生物の現実を夢に見る?そんな馬鹿げた話があってたまるものか。

鏡也はそう思いながらも背筋を伝う冷たいものを隠しきれない。

頭で否定していても、心が目の前にいる少女の言葉を受け入れているのだ。ここは夢で、でも彼女にとってこここそが現実で、そして彼女が見る夢は自分たちにとっての現実世界での出来事だと。おとぎ話でもありえないような設定の与太話・・・・だなどとは微塵も思わないのだ。

だが・・・・認めることが怖かった。

無理もない、彼女の話が真実ならば、自分はいったいなんなのだ?

ただ単に、彼女がそういった夢を見る体質だというのか?それとも・・・・・彼女の夢こそ真実で、自分は彼女の夢に登場するただの登場人物の一人でしかないのだろうか。

 

そんな鏡也の葛藤を他所に、幽子(かくりね)はなおも話をつづけてゆく。

 

「信じられない・・・・ではなく信じたくない・・・・・・そのようなお顔をなさっていますね。無理もございません。ですがこれは戯言でも何でもございません。その証拠を今、お聞かせいたしましょう・・・・・・」

 

呆然とする鏡也の前で、少女は少しずつ語り始めた。

それは・・・・彼女の見ている夢。それは彼にとって・・・・・昨日まで過ごしてきた現。

彼がこの世に生を受けてから現在に至るまで、その人生の中で経験した彼にとって忘れられぬ思い出。本人しか知りえぬこと、中には本人ですら覚えていない、両親から聞かされた幼き日の思い出も含まれていた。

 

もう・・・・認めるほかなかった。

 

「それで・・・・・・あんたは一体何がしたいんだ!?俺を自分の家に招待して、こんなありえない現実を叩きつけて!!俺はいったい誰なんだ!あんたの夢の中で、あんたの思い通りにその生を全うするだけのお人形なのか!?いや、俺だけじゃない。あんたの話の通りなら・・・・この世に真実なんてあるのかよ!!」

先ほどまでの平静などもうない。

唐突に理解しがたい現実を突き付けられて、そしてそれが疑いようのない真実なのだと問答無用で納得させられ、彼にはもう何が何だかわからなかったのだ。

「あなたが誰なのか・・・それを決めるのはあなた自身にございます。この世に真実など本当に存在するのでしょうか?言ったはずです、私にとってこここそが現、しかしあなたにとってここは夢に過ぎぬのだと・・・・・・。私のほうがあなたの見ている夢の住人に過ぎぬという可能性も多分にございます」

そういう少女の瞳には、先ほどまでの凛とした輝きとは別に、わずかながらに戸惑いの色がみてとれた。

彼女も、不安なのかもしれない。

だからこそ、誰かに伝えなければならなかったのかもしれない・・・・・真実を手にするために。

 

「私の願いは夢よりの解放・・・・・願わくば、あなたが「真なる現」に目覚めますよう・・・・」

「真なる・・・・現?」

 

そう告げる彼女の瞳から、先ほどまでの迷いの色は見て取れなかった。

その代りに浮かぶもの、それは・・・・・・希望。

幽子(かくりね)の言う「真なる現」とは一体。

答えはまだ見えぬまま、ただ静かに時だけが流れていた・・・・・。

~まだまだつづく~

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コメント

執筆お疲れ様でした~^^
いよいよ物語は佳境ですね~?
真なる現とは何か?・・うーん・・読む
側から見たら、わくわく^^なのは確か
ですね^^ご当人は大変ですけど・・^^;

今後の展開に期待しています~^^
何時もわくわく^^で読んでますよ^^

投稿: ジニー | 2008年11月25日 (火) 17時36分

コメありにゃ~

佳境・・・いや、まだ正確には物語の導入部分だったりするのですが(ぇ
がんばって書きます~

投稿: ゆーり(管理人 | 2008年11月25日 (火) 18時30分

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