夢現草子(むげんぞうし) 二夜。
はい、夢現草子第二弾です。
肝心の幽子(かくりね)が出てくることすらないままだった第一話ですが、今回ではようやく登場・・・・すると思います(ぁ
妄想が妄想を呼び、自分でもどうなるかわからないくらい広がりの様相を呈してきました。
先に言っておきます、今回の部分でも全体で言うとまだOPくらいな気がします。
いつまで続くのか・・・・・w
とりあえず、第二夜をどうぞ。
前夜のあらすじ
不思議な『夢』。
奇妙な『静寂』と『黒』が一面を覆いつくすその『夢』で、『彼』は『彼女』と出会う。
果たしてその出会いは『彼』に何をもたらすというのであろうか・・・・・『夢』はまだ。
始まってすらいない・・・・・・。
夢現草子(むげんぞうし)二夜(ふたよ)。
夢の中、俺は不思議な出来事に遭遇していた。
いや、そもそも夢なんだからなんでもありなのはわかる。
だがしかし、だ。
なぜ自分の夢の中で妙な女給さんに「お待ちしておりました」などと恭しくもてなさなければならないのだ?
普通夢ってあれだろ?脳内の記憶中枢が起きている間の出来事を整理する際に起こる・・・とかなんとかいうわけのわからない理屈の産物なんだろ?
だったら俺は、ここ最近でこの女の人となんらかの面識があってもおかしくないわけだ。
もしくは俺がよく見ているテレビだ本だで目にしたことがあるはずなんだ。
でも・・・・・・誰だ?
少なくとも俺の周りにこんな美人はいない。
いたらはっきり覚えてる、というか忘れたくない部類に入るだろう、間違いなく。
「あらいやですわそんな風に思っていただけるなんて」
そんな俺の考えを読み取ったかのようなタイミングで、目の前の女性は少し気恥ずかしそうに目を伏せた。
ちょっと待て、俺、今口に出してたのか
うわー恥ずかしい・・・・・
どうやら口走ってしまっていたらしいこっ恥ずかしい考えを思い出し悶絶する、そんな俺の姿を面白そうに眺めながら、彼女はそれでも歩みを止めようとはせず。
そうして導かれるままに進んでいく先に、突如奇妙な空間が姿を現した。
そこはどこか懐かしい、そんな感じのする屋敷のように思えた。
思えた、というのは、概観を目にしたわけではなく、歩いていると突然そこに出てしまったためだ。
よくテレビで見るようなちょっと立派なお屋敷のような雰囲気を漂わせている。
俺の夢って・・・・わけわかんねぇ・・・・・・。
夢とは記憶や願望、想像、そういったいろんなものがごちゃ混ぜになっているのだろうか?
それにしても俺にこんな屋敷に住みたいとか女給さんが欲しいとかって思いはないと思っていたんだが・・・・・気付いていなかっただけなのか???
この広い世界で、自分の夢の中で頭を抱えて悩みこんでいる人間が他にいるだろうか。
現時点で、俺にはこの夢を見始めた頃の余裕など微塵も残ってはいなかった。
それどころか、本当にこれは俺の夢なのかという疑問すら浮かび始めている。
確かに俺の心は今でもこれが自分の夢だと俺に告げているのだ、だがしかし、それとは別に頭の片隅でこれは現実ではないかと考えている俺がいるのだ。
夢だとしか説明しようのない世界は、現実と見紛うほどのリアルさを伴って俺を戸惑わせる。
俺は心の中で叫んだ。
これは夢なのか、現実なのか、誰でもいいから教えてくれ・・・・・・と。
我ながら都合のいいことを言っていると思う。
そんな悩みに悩む俺の百面相を、彼女は今も面白そうに眺めている。
俺の問いには答えてはくれそうにない。
「うーん、わたしではお答えできませんねー。それに関しては彼女のほうが適任でしょうから」
またもや俺の心の叫びを読み取ったのか、それともまたまた声に出してしまっていたのか・・・・しかし彼女は確かにこう答えたのだ。
『彼女』と。
この世界には、彼女以外に少なくとももう一人『彼女』と呼ばれる存在がいる。
そして彼女の言葉が真実ならば『彼女』は俺のこの問いの答えを知っているらしい。
もう誰だっていい、なんだって構わないからどうにかしてくれ。
藁にもすがる思いで彼女の後をついてゆく。
このままじゃ気が変になってしまいそうだ。
「お待ちしておりました、三枝 鏡也(さえぐさ きょうや)さん」
やがて、ようやく彼女が立ち止まったそこで俺を待っていた本日(?)二度目となる呼びかけは、鈴のような透明な響きを持って俺を出迎えた。
「ご苦労様でした揺(ゆらぎ)、下がってくれて結構ですよ」
「んまぁわたしを下がらせて密室で男女が二人・・・・何をなさるおつもりですかっ
」
「あなたがいるとそうやって茶化すから下がっていて欲しいのですけれど・・・・・」
「幽子(かくりね)ったら、そんな生真面目だと疲れるわよ?」
「私(わたくし)にはあなたのような生き方は出来ませんよ」
「はいはい、じゃあお茶でもお持ちしますね」
呼び出された当人はそっちのけで続く会話。
それもひと段落し、女給さん(揺さんというらしい)は軽く肩をすくめるとそのまま部屋を後にする。
残されたのは俺と幽子(かくりね)と呼ばれていた少女のみ。
こ・・・この後めくるめく体験が・・・・っ!?
「揺(ゆらぎ)の言葉を真に受けないようお願いいたしますね」
うぉ、釘を刺された・・・・てか今のは完全に声には出してないぞ。
ということは今までのも声に出してないのに心を読まれていたってことか。
まったくもって謎な世界だ。
いまだ頭はパニックだが、この奇妙な世界の答えを知るらしい少女の存在は若干だが俺に冷静さを取り戻させてくれていた。
そしてそんな俺の様子から大丈夫だと悟ったのか、彼女はニッコリ微笑み話を始めた。
「ようこそ、夢現楼閣(むげんろうかく)へ、私(わたくし)の名は幽子(かくりね)。全ての現(うつつ)を夢に見るものにございます・・・・」
これが彼女、幽子(かくりね)との出会い。
こうして・・・・・奇妙な物語は唐突に幕を開けたのだった。
~きっとまたつづく~
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コメント
なるほど~プロローグですね?
TVドラマだと~幽子さんが口を開いた時が
次回予告?かしらw でも~どんな物語が
語られるのかワクワクですね~^^
投稿: ジニー | 2008年10月25日 (土) 18時07分
コメありにゃ~
ようやくプロローグですw
今度はなるべく早く続きを書きたいです。
でないとどんどん話が膨らんで収拾がつかなくなりそうです。
まだ、続きますw
投稿: ゆーり(管理人 | 2008年10月25日 (土) 21時00分